ファンキー末吉とその仲間達のひとり言
----第114号----
2006/01/29 (日) 23:22
花火爆竹の中国のお正月
新年好!新春快楽!
今日は旧暦の1月1日、中国語で「春節」、いわゆる旧正月である。
日本では通常の1日でしかない今日は、中国では一番大事な祭日。
言うならば盆と正月がいっぺんに来たようなもんである。
ワシがこちらで春節を過ごすのは実はまだ2回目。
(1回目の話はコチラhttps://www.funkycorp.jp/funky/ML/96.html)
前回と大きく違っているのは嫁がいることと、
根っからの放浪癖にピリオドを打って「住処」を定めたこと。
(関連ネタhttps://www.funkycorp.jp/funky/ML/109.html、
https://www.funkycorp.jp/funky/ML/110.html)
今回は実は旧正月前から夫婦して日本に帰る予定だったのだが、
チケットの予約が遅れ、どうにも満席で日本への便が取れず、
仕方がないので春節明けの2月2日のチケットを取って今もこうして北京に残っている。
誰もワシが今北京に残っているとは思ってないので
誰にも「うちに来いよ」誘われることもなく、
言うならば典型的な「家族水入らずで過ごす」春節である。
しかしワシらふたりでどう過ごせばええのん?・・・
初めてのことなのでとりあえず人を呼んで賑やかに過ごすことにする。
「中国では餃子にコイン入れてそれを茹でてみんなで食べるのさ!」
と知ったかぶりに嫁に言うが、
「餃子ってどうやって作るの?皮から作るんでしょ?」
と聞かれ、いきなりしどろもどろ・・・
そうなのじゃ。ワシは誰かが作ってくれた餃子を食べたり、
せめて誰かが作ってくれた皮を一緒に包んで餃子にしたりしてただけなのじゃ・・・
誰か餃子の皮作れるヤツはおらんか・・・
院子のロックミュージシャンはほとんど里帰りしてしまってるし、
前回一緒に旧正月を過ごした友人達は今年はみんな外地に行ってしまってる・・・
若いミュージシャン達は実家に帰ってたり、
基本的に北京人は家庭にこもって家族と過ごすので出てこない。
仕方ないので春節なのに日本に帰ってない日本人を呼び集める。
元XYZのPAエンジニア吉田くん夫妻に、
元ワシのアシスタントの若い衆重田くん、
そして昔BayFMのラジオ番組「Asian Pop Connection」
を一緒にやってた相方「千葉麻衣子」がひょんなことから北京に留学に来ているので
みんな一堂に呼び出して総勢8人で「鍋」。
そう、誰も餃子作れないから日本人的に鍋屋で鍋を囲むことにしたのだ。
XYZ北京ライブhttps://www.funkycorp.jp/funky/ML/61.html
の打ち上げでも使った中国式牛肉しゃぶしゃぶ鍋に集合して飲むぞ!
と思いきや、その向かいが政府公認の花火爆竹販売店。
そうそう・・・聞くところによると今年から北京市内で爆竹が解禁になったとか・・・
よしとばかり花火と爆竹を購入しようと心に決めつつとりあえず食事。
食べながらもいろんなところでバンバン、ヒューヒュー、ボカンと言ってるのを聞きながら、
気もそぞろになりながら食事を終え、やはり春節は花火と爆竹でしょう!!!
向かいの花火屋に駆け込んで花火と爆竹購入!!
しかしこれって意外と高いのよね・・・
百連発とかの爆竹が40元(600円)。
ロケット花火、打ち上げ花火が90元(1500円)。
これを大勢で盛り上がってやりまくろうとすればやはりひとり1万円がとこ必要である。
我が家の財布を握っている花火好きの嫁が
喜び勇んで300元(4500円)ぽんと出したところでどれほども買うことが出来ない。
「吉田家の厄払いです」と言って100元出してくれる吉田くんはありがたいが、
結局はみんなで打ち上げ花火数発と爆竹で終ってしまう。
ちと物足りない気もするが、
厄払いが目的ならもう十分目的は果たしたとばかり家路に着く。
彼らは市内へ、ワシら夫婦は貧民街へと帰ってゆくのだが、
(関連ネタhttps://www.funkycorp.jp/funky/ML/113.html)
心なしか道々、周りで花火を上げている数が増えて来るように感じる。
聞くところによると規制が厳しかったのは北京市内で、郊外は言わば無法地帯。
昔からいたるところで花火や爆竹とは聞いていたが・・・
だいたい都会のど真ん中のビル街で打ち上げ花火を上げようと思えば大変だろうが、
ウチの村はちょっと外れれば全て未開の空き地である。
花火なんぞ上げ放題なのではあるまいか・・・
・・・と期待に胸を膨らませて家路に着くが、
まあこれと言って凄い花火や爆竹の嵐があるわけでもなく、
院子に帰って風呂に入り、大家が放った爆竹の音を聞きながら眠りに着こうとすると、
夜中の11時を過ぎたぐらいから爆音と共にいきなり窓の外が明るくなり出す。
花火好きの嫁がいそいそと起き出して窓から眺めたり外に出たり、
近所のいろんなところで上がってる打ち上げ花火が小さく見えるので、
「よし、車で花火やってるとこまで見に行こう!」
とばかりふたりで起き出して車に乗る。
「近所の空き地じゃないわよ。きっとあっちの高級別荘地よ」
そうそう、花火が結構高いものだと分かった今、
あんな巨大な打ち上げ花火を、うちの村の貧乏人がやれるわけはない。
隣接する超高級別荘地に繰り出してみると、
そこはもはや隅田川の花火大会よりも凄まじい勢いで花火が打ち上げられている。
しかも路上の真ん中で一般人が勝手に墨田川級の花火を打ち上げているのである。
隣接する超高級別荘地では、恐らくその別荘の管理会社が花火を上げているのか、
それでもかなり大掛かりな花火がボンボン上がるそのま横の路上で、
車のトランクに花火を満載した人たちがどんどん集まって来て、
自分勝手にボンボンと更に巨大な打ち上げ花火を打ち上げる。
「タマや〜!カギや〜!」
などと風情のあるもんではなく、
花火がひとつの花だとすると、その花びらの下っ側はヘタしたら地面すれすれだし、
横っ側はヘタしたら別荘地の屋根すれすれである。
お前ら、高度が低すぎんねん!
と言ったところでそれは売られている花火のみが知っていることなのでどうしようもない。
綺麗と言えば、こんな至近距離で花が咲くんだからそれは綺麗である。
花火好きの嫁、狂喜乱舞・・・
頃は夜中の0時ともなると、
高級別荘地の全ての住人がまた自分で火を上げるもんで、
もうそこらじゅう花火だらけ・・・
綺麗を通り越してもう「壮絶」である。
隅田川も淀川も、これほど広範囲で花火を打ち上げることはあるまい・・・
またこんな至近距離でこれだけの数の花火を見ることはあるまい・・・
嫁・・・狂喜乱舞・・・
毎年死者が出たり火災が起こったりで市内では禁止されていた花火爆竹。
今年より条件付と言えど解禁!
しかしその条件と言うのが「花火購入はひとり30kgまで」と言うのは本気か!!!
この国は正月に花火で死んでもええんか!!!
かなりの数の警察が動員され、厳戒態勢で行われた花火爆竹解禁。
幸いにも本日、春節の一日で負傷者は出たが死者はゼロと言う。
そしてその負傷者のほとんどは顔面に火傷を負ったと言うものであるそうだ。
お前ら!そうまでして花火やりたいかい!!
ちなみに日本大使館は
日本人がのこのこ見に行くことを自粛するよう要請していたらしい・・・
帰り道でも道のど真ん中で打ち上げ花火をやっているので、
さしずめ戦争映画の一場面のようにそれをよけながら家路に着くワシら夫妻。
花火好きの嫁が、屋台を引いて売りに来ている花火屋さんに聞いた。
「あの一番大きな打ち上げ花火、いくら?」
「タマや〜!カギや〜!」の20連発で700元(1万円)。
至近距離で爆発する花火に照らされた嫁の美しい横顔がこう語っていた。
「来年はきっと院子で高級別荘地に負けない花火を上げてやるわ!」
ダンナ、来年の花火代のために一生懸命働くのみ・・・
ファンキー末吉