ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第129号----

2007/10/09 (火) 10:43

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雲南省でのロックイベント

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2か月ぶりに帰って来たらパソコンが2台とも壊れていた。
しかも中国では10月1日から1週間は国慶節で大型連休となる。
パソコン修理会社も全て休みである。

困った・・・

数日後には北朝鮮の幹部が平壌に帰るので
次作品の譜面とDEMOを持って帰ってもらわねばならない。
北朝鮮プロジェクトの第2章は既に始まっているのである。

仕方がないので新しいのを買った(涙)
2日間かけて山ほどの音楽ソフトをインストールする。
4日には海淀公園で布衣のライブがあるのじゃが
毎度のことながらインストールは確実にトラブりながら時間は無駄に過ぎてゆく。

忙しい時ほど仕事が重なるものである。
巒樹から電話があり「1曲叩いてくれないか」と言うのじゃが、
「ライブ終了後にしか時間がないんだけど・・・」
と言うしかない。
「じゃあ夜9時からね」
と言うことになって電話を切ると、
間髪置かずに今度は曲世聰から電話がある。
「すまん・・・夜の12時からならなんとか・・・」
ライブ(その前にリハーサルも含む)とレコーディング2本のトリプルブッキングである。

全くもって中国の仕事は「明日空いてる?」で全てが決まるので、
どっかに出発する前にはいつも徹夜である。

朝方までドラムを叩き、帰ってから譜面を作り、DEMOを作り、
やっと終わった頃にはもう出発である。

毎度のごとく空港でビールを煽る。
「Funky、朝からよくビールが飲めるなぁ」
いやいや、ワシにとってはまだ夜の延長なのじゃよ。

初めてゆく雲南省。
飛行機はまず省都である昆明に飛ぶ。
所要時間3時間強。
関空まで帰るより更に遠いではないか!!

目的地の麗江に行くにはここで更に3時間のトランジットがある。
こりゃ飲むしかない。
しかし布衣の人たちはアンダーグランドバンドなので貧乏である。
全世界共通空港のバカ高いレストランなんかに行く金はないので、
仕方なくケンタッキーフライドチキン。
まあこれにしても1日100円で暮らしている彼らにとっては物凄い贅沢である。

ワシは売店でビールを買って来て持ち込んで飲む。
日本だとつまみ出されてしまうような行為だが、
中国だとこれは普通の行為である。
だいたい「唐揚にビール」と言えば定番であるはずなのに、
その「唐揚屋」にビールを置いてないこと自体が間違いである。
神様であるお客がわざわざそれを買って持って来てやってるのである。
感謝こそされ、咎められる理由はどこにもない。

さて再び飛行機に揺られること1時間。
こりゃ言わば関空から伊丹で乗り換えて高知まで行くようなもんである。

遠い・・・

更にはロックフェスティバルがあるのはそこから更に1時間ほど車にゆられたところにある。
聞くところによると、麗江の古い街並は世界遺産に指定されていて、
今から行くところはそれを真似て作った巨大な人工遺跡のようなところである。

着いてみるとそこは夢の世界。
「ここは湯ばーばの街か・・・」
とワシは思った。

一連の石畳の街・・・
網の目のように街中に広がる小川。
土産物屋とバーと食堂がその小川の両脇にひしめき合っている。
北京で言うと后海(HouHai)と言う、
湖の周りの古い街並を改造してバーストリートにしているところがあるが、
それを小川バージョンにしてやたらと広くした感じである。

全部見て回ろうと思うのだがとても1日では回れようもない。
とりあえず酒飲んで寝る。

夜中に起こされた。
例によってイベントの仕切りは無茶苦茶なので、
翌日の午前中だとリハが出来ない可能性が大だと言うので
前日の夜中にやっとくと言うのだ。


(夜のステージ)

会場は大舞台と小舞台とあり、
布衣はアンダーグランドバンドなので小舞台である。
しかしこれがまた美しい!!

夜中にどんどんサウンドチェックをしていると突然おっさんの怒鳴る声が・・・
警備に当たっている警察が一斉に動く。
警察が動くとワシは条件反射的にビクっとするが、
心配ない、ここでは警察はワシらを守る立場なのである。

見ればステージ袖の民家の2階から血相を変えて怒鳴っているおっさんがいる。
そりゃそうだ、3日間のイベントで一日中大音量を鳴らされ、
昨日は夜中の4時まで、そして朝は9時から大音量を鳴らされ、
今日もまた夜中までがんがんやられたのではたまったもんではない。

大勢の警察とすったもんだやった後、
おっさんは最後にはしぶしぶひっこんだ。
このイベントは言うならば村おこしの一環。
中国じゅうから何万人と言う人がここに集まり、
そして周辺の商店に、売店に、バーに、旅館に莫大な金を落とす。
たったひとりのおっさんの睡眠不足なんか知ったこっちゃないと言うことか・・・

「リハ、もういいでしょ・・・」
どうせリハやったって明日にはセッティングが全て変わってるのが中国である。
ワシはそうそうに現場を引き上げた。
朝起きて院子でメールチェックした後、街を探索する。


(旅館は四合院を改造したもの。写真は二階からの見る院子。うちの院子とは大違いである)


(一番の繁華街)


(街中の移動手段には馬、馬車と言う選択肢もある)


(橋の欄干には何故か猿回しの猿が・・・)


(昼間の会場。右手に見える建物の2階で、おっさんは眠れる毎日を過ごす)


(オーディエンスも盛り上がる)


(イベントの公式グッズ)

会場で売られていたイベントの公式グッズは何故か大麻のデザインであった。
さすがは麻薬トライアングルに含まれる土地と言うか何と言うか・・・

実際、世界から集まったいろんなバックパッカーが、
最後にここでパスポートを捨てて住み着いてしまうと言う話もある。
一年中春の気候だと言うしね。

二泊三日で急いで北京に帰って来てしまったが、
今度は是非嫁と子供と連れてせめて1週間ぐらいはのんびりしたいものだ。

ファンキー末吉


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