ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第14号----

2000/03/23 07:40

いやー・・・
実は身体を壊してたんですよ・・・
いや、これほんま!

先月X.Y.Z.で東北ツアーに行った時、
何やら身体が重いなあと思ってたところ、
八戸に移動したとたん身体が動かんようになってしまった。
あんなしんどかったのは前回ジュディマリの公太と四川旅行に行った時以来である。

まずノドが腫れて、
肩こりと腰こりがむちゃんこひどくなったような感じでやって来て、
ツバを飲み込むのも痛いし、
寝返り打つにも痛いし・・・
起きるに起きられんようになってしまう。

これが四川に旅行中だった時はまたひどかった。
医者に行き、
またこれが長い中国渡航経験の中で中国の医者に行くのは初めて。
うちの嫁はもともと医者で、
まあ中国っつうとこは日本と違ってお医者さんと言うのはそんなに偉くない。
共産主義国家の中では、
基本的に無料である医者と言う職業は教師に次いで「金にならないNo.1職業」
つまり今や開放経済真っ盛りのこの国では
「なりたくない職業ワースト1」に近い。
つまり日本のように厳しい国家試験をパスしてやっとなり得る職業ではなく、
うちの嫁のように短大卒業すると誰でもぽっとなれる職業である。
当然医者にも当たり外れが多く、
うちの嫁も当直かなんかで夜中に詰めてて、
交通事故かなんかで運ばれた急患にあわてふためいて、
「ええい!縫っちゃえ」
とばかり応急手当をしたと言う。
あんた歯医者やろうが!
と突っ込もうとした俺であるが、
そんなこんなで嫁は出産をどうしても中国ではやりたがらなかった。
「命を中国の医者に預けるつもりはない」と言う。
いやー、あんたみたいな医者ばっかりやないでぇ、きっと。

などと言う話は置いといて、
四川省重慶のそのお医者さんは親切だった。
寝かされて点滴を打ってくれ、
「明日また来なさい」
と言う女医さんに
「でも明日も旅なんでここには来れないんですよ」
と答えた俺に、彼女は飲み薬と共に点滴の1セットを持たせてくれた。
でも点滴のビンはともかく、
それにぶら下がっとる針を誰が打つんじゃい!

一緒に旅をしていたJazz-ya北京の責任者、安田に、
「お前もこれだけ成功するにはヤバいこともやっとるやろ。
お前なら注射の2,3本打ったことあるはずじゃ」
と言ってカマをかけたが外れた。
まあ麻薬はこの国では死刑やからなあ・・・

まあ行く先々で町医者を探し、
あの時はまるで四川省病院巡りの旅だった印象がある。
覚えているのは飲み薬の抗生物質がやたら飛ぶこと・・・
アメリカもそうなのだろうが、
中国の薬はそれはそれはきつい。
「病気になったらとにかく水を飲め」
の教え通りとにかく「飲んじゃ寝ぇ、飲んじゃ寝ぇ」の毎日。
これが酒じゃないのが残念だが、
その分抗生物質で飛べた。

さて日本、それも東北の、長いツアー人生の中でも行ったことがなかった土地、
八戸初上陸である。
ホテルではなく旅館に投宿し、
着くや否やバタンQ(死語)。
八戸Roxxと言うライブハウスは、今回我々のためにPAまで増設してくれ、
非常に熱心に応援してくれているのでまさかキャンセルするわけにもいかない。
仕方ないのでほぼ「本番だけ」モードにしてもらう。
小屋が狭く、ぎゅうぎゅう満タンの2daysなのであるが、
どちらも本番ぎりぎりまで寝ていて、
そのまま車に乗せられていきなりステージ。
温度差30度はあるだろうそのステージで酸欠ライブをやり、
一歩外に出るとまるで湯上りのように身体から湯気が出る。
そしてまた車に乗せられて帰る。
バタンQ(死語)・・・
それを2日間繰り返したが、
次の日の盛岡移動で本格的にダウン。
医者に駆け込んで薬をもらったが、
これが中国のように強くもなければ点滴も打ってくれない。
水をしこたま買って来て、
また「飲んじゃ寝ぇ、飲んじゃ寝ぇ」
しかし何も飛べないので苦しいだけである。

東京に帰って嫁に怒られた。
「あんた酒、もうやめなさい!」
ほんまやな・・・と納得。
酒をやめたら人生の楽しみのほとんどがなくなってしまうが、
この苦しさには代えられない。

思えばこの時期、
一番パワーがなかった。
そりゃ身体が動かんのやからパワーもへったくれもないが、
その上精神まで限界に来ていて、
「身体が何じゃい!根性じゃい!」
と言う無茶がもうきかん。
よぼよぼのジジイのようにとぼとぼと旅館の食堂に行って、
痛いノドに押し込むようにメシを食い、
風呂だけが楽しみで
(本当は風呂も悪いんじゃないかとみんなに言われたが、
身体が一瞬軽くなるのでついつい入ってしまう)
でもライブだけはプロとしてちゃんとした演奏をやるのだが、
体力がないので、なるだけフォームをきちんとし、
客煽りなどもなるだけ控えて、それはそれは優等生な演奏。
最近はフォームが変わって来て力でぶんまわすようになりだしたんで、
そんな最近の演奏に比べたらはるかに安定はしている。
でもそれってロック?

自分の身体が動かんと言うのはそれはそれは情けないが、
それより、パソコンも開けない、ゆえに原稿も書けない、
ゆえに「カラオケで学ぼう中国語」の執筆も途絶え、発売が延期になるとか、
何か精神的にも闘争心が失われてゆくのが悲しい。

思えばこの時期、パワーのかけらもなかった。
そんな自分を振り返りながらこんなことを考えた。
「こんな人間からパワーと根性を取ってしまったら、
それはそれはただのイヤなジジイやなあ・・・」
ほんまやほんまや。
どうせ今さら優等生にはなれんからなあ・・・
基本的にイヤなジジンやで、この男、やっぱ・・・
動いてなんぼやなあ・・・

ファンキー末吉


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