ファンキー末吉とその仲間達のひとり言
----第63号----
2002/05/24 (金) 13:40
「床屋」
風呂に入りたい!
ワシは決して綺麗好きではないが(見たらわかるっつうねん!)風呂は大好きである。
だいたい家風呂があっても狭いのがイヤでほとんど銭湯に行っている。
北京でも「東方健康ランド」と言う名古屋人が開いたサウナがあり、
時間があればそこに行ってゆっくりくつろいだりする。
しかし、風呂の目的が「くつろぎ」ではなく、「身体を洗うため」だけなら、
ワシはきっとそんなに風呂には入らないかも知れない。
それ以外の大きな目的は「頭を洗うこと」。
ワシの頭皮は過敏症で、常に荒れていて真っ赤になってたり、
髪の毛洗った直後でもフケが出たり、
ちょっと数日洗わずに放っておいたりすると痒くて大変である。
風呂に入りたいなあ・・・
しかし考えてみるに、
ゆっくり時間がある時はいいが、
時間がない時にそのためだけに東方健康ランドに行って、
くつろぎもせずに頭だけ洗って100元(約1600円)払うのももったいない。
スタジオの近所に18元の公衆浴場があるのだが、そこは抜き系なのでちとまずい。
先日、知らずにそこでマッサージを頼んだら、変な紙で出来たパンツを買わされ、
真っ赤なライトの個室に連れ込まれ、
化粧ばっちしにドレスを着たおねーちゃんが入って来た。
「これはまずい!」
と突然中国語が喋れないふりをして、
「Massage please!」
と英語圏の人間になる。
抜かれたらそれなりのチップを取られるので、
純然たるマッサージを要求する。
「じゃあ寝なさい」
と中国語で言われ、即座に反応してさっと横になってしまったので
「あんた中国語喋れるんちゃうん?」と気づかれたかと思ったが、
そ知らぬ振りしてうつぶせに寝る。
おねーちゃん、申し訳程度に太ももを撫でてたと思ったら5分ぐらいで
「仰向けに寝て」と中国語で言う。
聞き取れるもんだからついすぐに仰向けに寝てしまうが、
会話をしてしまうとついつい抜かれてしまってチップを取られるので
今度は寝たふりをする。
イビキの手術をしたので嘘イビキは出ないが、
それでも寝息程度を演出しつつ寝たふりをしていると、
おねーちゃん、その紙パンツの中からスルっと手を入れて来る。
いきなりズボっ!だと客から当局に通報されても困るのか、
恐る恐るちょっとナニに触っては太ももマッサージに戻る。
また触る・・・また触る・・・股触る・・・
ワシ、ナニがナニしたらナニ取られまっせ!とナニに言い聞かせ、
三井はんの顔とか思い出しながら一生懸命ナニがナニしないようにしますがな。
おねーちゃんがあきらめた頃
「ん、寝ちゃったみたい・・・」
とか言って起きた振りして、
「どうもありがと、じゃあね」
とチップ払わず部屋代と紙パンツ代だけで風呂を出た。
そんな思いもうしたくはない!
頭洗いたいんだったら今日は風呂ではなく床屋でいいではないか!
と言うわけで今日は床屋の洗頭にしようと思う。
ところで床屋と言うのはどうして「床屋」と言うかご存知か。
ある人に言わせれば、
あれはもともと奥に文字通り「床」があり、
髪の毛やった後はちゃんと抜いてくれるから床屋と言ってたらしい・・・
ほんとか嘘か、そう言えばスタジオの近くの胡同(路地裏)は、
明らかに人口密度よりも床屋の数が多い。
そのほとんどが、言われてみれば色っぽい姉ちゃんばっかで、
どうもその噂が本当だとしか思えない節がある。
頭洗ってもらって亀の頭も洗ってくれるんか?
まあ真偽のほどは行ってみなければわからんので、
近所の一番わけのわからん床屋に飛び込んでみた。
場末っぽいお姉ちゃんがふたりいて、ひとりなんぞはソファーでトドのように寝ている。
「頭洗って下さいな」
と言うと、びっくりしたお姉ちゃん、機嫌が悪そうに
「それはやってない!」
とけんもほろろに断られる。
頭洗ってくれない床屋があるんか・・・
やはりここまでDeepだとちょっとヤバいので、
今度はもうちょっとオシャレな店に入ってみる。
「頭だけ洗ってもらってもいいですか?」
先ほどの店とはうって変わった清楚な美人が笑顔で優しく接客してくれる。
ワシなんぞ頭洗ってもらうだけなのにえらい興奮してついつい席についてしまう。
洗頭10元と看板に書いてあるので、
こんな美人とお近づきになるだけで10元は安い!
頭を洗ってもらいながらいろいろ世間話をする。
やはり長髪だからなのか「音楽やってるの?それとも芸術?」と言われるので、
「陳琳(ChenLin)って知ってる?」
と、ついこちらでのメインの活動を口走ってしまう。
そうまでしてモテたいのよ、ワシ。
店じゅうで彼女のヒット曲「愛就愛了」を歌いながら大盛り上がり。
「そうなのぉ。あの曲のドラムを叩いてるのね・・・」
本当はあの曲だけワシではないのだが今さら否定できないのでいい加減に相槌を打つ。
「そうなのぉ。私よくあの曲のMTV見るわぁ。あのドラムの人なのね」
本当はワシじゃないのだが適当に相槌を打つ。
よう考えたらあのドラマーは短髪やないかい!
冷や汗をかき始めた頃、
「じゃあ流しますから」
と洗面台に連れて行かれ、
「シーミエンもやりますか?」
と聞かれる。
シーミエンって何やねん!とは思うものの、
美人が言うのでついついウンと言ってしまう。
「じゃあこちらにどうぞ」
と連れて行かれたのが2階の個室。
小さなベッドが並んでいる。
ここってひょっとしていわゆる噂の床屋の「床」?
緊張しながらベッドに横たわる。
公衆浴場のマッサージの時は5分間はうつ伏せだったが、
今度は最初っから仰向けである。
ハズカシイ・・・
清楚な美人はてきぱきと準備をしながら、
「どのコースになさいます?」
とメニューを差し出す。
メニューの中に「フランスの」とかあるのを見つけただけでワシ、
心臓ばっくんばっくんである。
中に「日本資生堂」とかを見つけて聞いてみる。
「はい日本製のもなかなか評判がよろしいです」
日本の資生堂、ついに風俗に進出か!
と思いつつ、つい高いフランス製のを選んでしまう。
舶来嗜好は日本のジジイの悪い癖か・・・
「それでは始めます」
清楚な美人がワシの顔に手をやり、
マッサージから美容パック。
そう、イーミエンとは洗面(XiMian)、
いわゆるフェイシャルエステだったのね・・・
1時間かけてそれはそれは丁寧に美顔してくれ、
軽くマッサージしてもらって100元(約1600円)。
顔なんぞもうてっかてっかである。
「よ、末吉さん。今日はなんかすっきりしてますねえ。
どっかで抜いて来たんちゃいます?」
違ーう!断じてそんなことはない!
誤解せんといてや!
ファンキー末吉